
シベリアのホテルに泊まっている。
シベリアと云っても、かなり奥地だ。
当ホテルは5階建てなのだが、エレベーターが無い。
一階で受付をすると、大きな荷物を自分で抱えて、
階段を、えっちらおっちら5階まで登る。
何事も、自分でやらねばならない。
ま、いっか。
さて、問題は朝食だった。
朝食券なるものを、フロントで貰ったので、
朝、一番に、レストランに向かった。
「しまった、誰もいない」
仲間も、通訳もいない。
ロシアでは、英語が通じないことが多い。
ま、なんとかなるだろう・・
気軽に足を踏み込むと、そこは、バイキング形式だった。
「おっ、コレなら慣れてるゾ」
置いてあるトレイを手にした。
しかし、出来たのは、そこまでだった。
何をどうしたらいいのか分からない。
肉らしき料理が6つほど並んでいる。
それだけ、なのだ。
パンはどこにあるのだろう?
スープは?
サラダは?
卵は?
飲み物は?
トレイをささげ、仁王立ちしていると、
カウンターの向こうに、女性が現れた。
何か喋っている。
「ロシア語、ワカリマセン」
日本語で答える。
英語でも言ってみる。
再び、何か喋っている。
身振り手振りで、食べたいのだと、表現してみる。
返ってくるのは、流ちょうなロシア語。
こういう場合・・・
こっちも日本語で、意志を伝えた方が通じるかもしれない。
普通に受け答えする。
「卵をネ、目玉焼きにして欲しいんです」
『 :;oyt0nrtyia、onca;ndrtiia;b iyao』
「二つネ」
『etyikvyno;;ouzta』
「ダー(はい)」
英語のイエスに当たる、ダーを連発する。
相手のいう事に、全部「ダー」と返事してみた。
レストランでは、何かを食べさせようと待っているのだから、
日本の例に倣えば、「はい」と返事していて間違いはない。
果たして・・・
トレイの上に、様々なモノが乗せられた。
4枚の皿に、肉だの野菜だのスープだの、
お粥だのが、たんまりと。
目玉焼きは通じていたようだ、しかも2つ。
(指を2本立てたからか?)
「コーヒー」
これは通じた。
やには、スティックコーヒーをバリッと破って、
カップに入れ、自分でお湯を入れろと渡してくれる。
すべて揃ったところで、フロントで貰ったチケットを出した。
すると、レジをカチャカチャ打ち、
数字を、私に指し示す。
「えっ払うの?」
どうやら、たくさん注文した場合、オーバーした分は、
自分で払うらしい。
(しまった、お金を部屋に置いてきた)
《お金を持っていない》というパントマイムを、
伝統的な方法で行う。
ズボンのポケットをひっくり返し、
何も入っていないと見せびらかす。
っと、右手に握っていた部屋のキーを、
ひょいと取り上げられた。
はは~ん、部屋づけにするのネ。
しかして、3人分ほどの朝食にがっつけたのであった。

デザート(ホットケーキ?)