「○○空港へ向かう、○○便の座席が不足しています」
私がアクビをかみ殺していた某空港のロビーに、
女性アナウンスが響く。
耳を澄ます。
「ひと席、ご提供して頂ける方、お待ちしております」
ええ~?
「譲って頂けるお客様には、1万円の謝礼をさせて頂きます」
なんですと?
私の耳に入った情報を、記憶の限り再現してみた。
席を欲しいから、買おうと言っている。
願望をアナウンスしている。
1万円で売ってくれと、素直に、こうべを垂れている。
困っている私たちを助けて欲しいと、下座している。
ある意味、飛行機会社としてのプライドを、
かなぐり捨てたと言えなくもない。
ここで、言っておきたい。
似ているアレと、間違えてはいけない。
人気コンサートのチケットを会場の外で、
「売ってくれ!」
札を振ってお願いしているのと、同等ではない。
自分の為に、売ってくれという場合と、
同等に述べては、失礼だろう。
空港のアナウンス女性の声に、驕りはない。
切実さが満ちている。
ん・・・?
この潔さ・・・以前にも聞いた事があったナ。
あれも、空港だったゾ。
確か、あの空港は・・・この空港だったじゃないか!
《鹿児島空港》
《覚悟して空を飛べ》2006;10月13日
やたら長いコンコース