列車の座席に座り、文庫本を開いている。
読んでいるのは、小説だ。
ページは四分の三を過ぎ、佳境に入っている。
二時間ドラマで云えば、崖の上で、謎解きの場面だ。
ゴトトンゴトトン~
「次は、○○に止まります」
車掌のアナウンスが、響く。
不思議な事に・・
そのアナウンスは、無意識の私の脳に届いている。
「○○~○○~」
駅名が、車内に知らされてゆく。
コレにも、どうやら私の脳は反応している。
一方、私の脳の大部分は、小説の謎解きに、
没頭だ。
『刑事はなぜ、気づかなかったのかい?』
ページをめくり戻り、
100ページ以上前のセリフを確認したりしている。
ゴトトンゴトトン~
「○○駅で各駅停車に、お乗り換え下さい」
『待てよ?ヤツは犯人じゃないのか?』
「○○方面の方は、2番線に・・・」
『胃の中からは、青酸カリは検出されていないって?』
「まもなく、○○に到着いたします」
『なぬっ、ガサ入れでは、何も出なかったのか!』
ゴトトンゴトトン~
「○○で特急に、抜かれます」
『そうか!血液型が同じだったんだ!』
「閉まるドアにご注意ください」
『じゃ、別荘の鍵は誰が持ってたノ?』
「2号車で、忘れモノの操作中です」
『やっぱり、彼は刑事やめるんだ・・』
「
○○駅に到着です」
『
あっ、降りなきゃ』
プシューン
見事に、降りるべき駅で降りる私であった。
驚くべきかな、人間の能力!
鹿児島の市電の敷石は、芝生である(熊本も同じく芝生)