「はぁいイシマルさん、しっかり吹いてみましょうネェ」
人間ドックに入ると、《肺活量》を調べられる。
毎年、調べられる。
その度に、私の場合、数値が少ない。
男性平均を下回るだけでなく、女子以下であり、
むしろ女児並の数値がマシン上に浮かび上がる。
「はい、吸ってぇ~吸ってぇ~はい!吐いて吐いて吐いて吐いて!」
毎年お世話になる検査士の女性が、鼓舞してくれる。
頑張って、肺の中の空気を搾り出して吐きなさいと、
叱咤激励してくれる。
私の数値が小さいのを、覚えていて、なんとかしてやろうと、
後押ししてくれるワケだ。
しかし・・・悲しいかな。
今年も、出てくる数値は、とても小さい。
肺活量とは、
肺の活力を調べるのだと思える。
肺の容量というよりも、
活発に動いているかを、
調査しているとみえる。
『活』という文字を使用している珍しい検査方式だ。
脳波検査を、脳
活波検査とは言わない。
大腸検査を、大腸
活性検査とは言わない。
血液検査も、
活血液検査と言わない。
活を、あえてくっ付けている検査は、肺活量検査だけだ!
ちなみに、
活魚の
活だ。
私の場合、胸囲はそれなりにあり、
それなりにランニングも出来る。
空気の薄い高山でも、歩きまわっている。
肺に問題はないと自負しているのだが、
なぜか、肺活量検査では、落第生。
検査が終わると、検査士が、
両手を腰にあて、顔だけ検査機に向け、下唇を噛んでいる。
このポーズは、その昔、見た覚えがある。
小学生のけんじろう君がオネショをした布団を、
庭の物干しに吊るしたあと、母親が、同じポーズをとっていた。
(ん~もう、5年生にもなってぇ~)