 「搗き立ての餅はうまいヨ!」
皆が口をそろえる。
確かにうまい。
ペッタンペッタン直後に、小さく丸めた餅を頬張る。
大根おろし醤油で食ってもうまい。
アンコになすり付けてもうまい。
キナコをまぶしてもうまい。
実は、私の好きな餅付きの食べ方は、
餅つきの前にある。
「ほ~い、ふかしたゾ~」
モチ米を布に包んで、男二人が運んでくる。
湯気を立てる、ふかしたてのもち米を、
臼の中に、放り込む。
横には、杵を担ぎ、
今からペッタンを始めようという猛者が、
二の腕の筋肉を膨らませている。
さあ、このタイミングだ!
さっと手を伸ばし、
湯気の立つモチ米を、ネコババするのだ。
ふかしたてのモチ米は、驚くほどうまい!
アツアツで、悲鳴をあげそうになるが、
そこは我慢で、手を伸ばす。
なんたってモタモタしていると、
杵の餌食になる。
掬い取ったモチ米を、右、左の手に移し替えながら、
口でついばむ。
ネチネチとした触感と、ふくよかな香り。
米の旨さを、この香りが教えてくれる。
「おぅ、ネコババにきたな!」
杵を担いだアンチャンが睨んでくるが、
そのアンチャンの口にも、オコワは咥えられていた。
搗きびとの特権だネ。  滝田クン と イシマル
by ishimaru_ken
| 2016-01-17 05:54
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