
スキー場のリフトは、恐ろしい。
あんな怖い乗り物もない。
スキーをする方は知っていると思うが、
二人乗りの簡単なリフトの場合、
落下防止のバー(横棒)がない。
乗車シーンを振り返ってみよう。
スキーを履いた状態で、乗車線のところまで、
すみやかに進む。
すると、5~7秒ほどの間隔で、
イスが回ってくる。
かなりのスピードだ。
二人掛けのイスが自分のお尻をさらってゆく。
ここぞという瞬間に座らなくてはならない。
そして、肝心なのは、
座った瞬間に、安定しなければならない。
アナタに許される時間は、一秒以内だ。
モタモタしていると、振り落とされる可能性がある。
それでもなんとか、座れたとしよう。
リフトは、時速10キロほどで、かっ跳んでゆく。
地上から離れてゆく。
高さ3~5m。
時には、もっと高くなる。
落ちて無事でいられる高さではない。
今、座っているイス(ベンチ)を確かめてみよう。
二人でやっと座れる長さに、40cmほどの幅。
背もたれも40cmほど。
両側に、ひじかけの様なテスリが付いている。
それだけだ。
「えっ、それだけなんですか!」
アナタは驚いた方がいい。
テーマパークのどんなアトラクションでも、
空中5~8mを浮遊しながら進むベンチに、
安全柵のないモノは見た事がない。
ところが、スキー場には、
これが当たり前の様にすっ飛んでいる。
大人をはじめ、小さな子供まで乗っている。
もちろん、私も乗っている。
私の場合、この不安定で、
むき出しのリフトの怖さに耐えきれず、
横のひじ掛けを握りしめている。
しかし、手袋をしているので、力が入らない。
周りを見渡しても、そんなヤツはいない。
皆、平気なのか、手は行儀よくヒザの上だ。
グラリと揺れたら、落ちるとか考えないのだろうか?
実際、突然、リフトが止まる事がある。
それなりに揺れる。
その直前に、下を覗き込んでいたりすると、
アワワワワ
落ちそうになるじゃないか?
って事は、下をのぞき込んだりしてはいけないって事か?
アナタにききたい。
お宅に2階や3階があったなら、その窓に、椅子をかけ、
足を外に投げ出し、座われますか?
足には、スキー板をつけ、手はヒザの上に置いて、
ただボンヤリできますか?
「ねえねえ、お昼何食べる?」とか言えますか?