
美しい山に出会うことがある。
あまりの事に、言葉が出ない。
「あぁ~」
感嘆詞だけだ。
しかし、山は、条件が付きまとう。
例えば、朝日があたる山の姿であったり、
夕陽があたる山の形であったり、
気象条件が、山の魅力に密接に関係している。
さらには、季節によって姿は、まるっきり変わる。
雪がその役目を、ほとんど担っている。
穏やかな山容が、雪によって、急峻な山岳に変貌する。
秋に登った山だからと、雪靴履いて、登ろうとするが、
登山道が見付かない。
足跡があっても、それが登山道だとは限らない。
むしろ、その足跡を辿って、道迷いを起こしたりする。
新雪が降ったあとは特に危険だ。
最初に歩く人が、道不案内だと、出鱈目な踏み跡をつける事となる。
「あっちかな?こっちかな?」
迷いがそのまま足跡に表現されている。
その足跡に従って次の人が歩くと、その次もその次も、
皆が、正しい道だと信じ込んでついてゆく羽目になる。
「違う!」
気づいた時には、かなりマズイ状況にはまり込んでいる。
ここで、勇気を持って引き返せばよいものの、
「ええいままよ」
道なき道を探して、突き進むと、いつか崖が現れる。
滝が出現したりする。
「引き返そう!」
こう思えば済むのだが、なぜか、崖や滝を降りたりする人まで出る。
そして、最後の言葉が語られる。
《遭難》
しかし、それなりの準備と知識を持って、
雪山に踏み込むと、時折、美しい現象を目にする事がある。
マイナス10℃を超えると、ダイヤモンドダストが舞っている。
雨あがりの虹というが、
雪あがりの虹もある。
「木は、なぜ凍らないのだろう?」
木も思っているかもしれない。
『うろちょろ動いているアイツラは、なぜ凍らないのだろう?』