先日、千葉県のロケに行った。
旅番組で、房総半島の列車に乗ろうという企画だ。
千葉県のJR五井駅に降り立った時だった。
「イシマルさ~ん!」
だみ声が聞こえる。
振り返ると、役者の
六角精児がのそっと現れた。
ドラマ《相棒》の鑑識と云えば、分かるだろうか。
彼とは、25年ほど前に舞台で共演し、
度々、酒を交わした仲だ。
「イシマルさん、何やってんすか?」
『旅番組で、列車に乗るんだヨ、オマエは?』
「ボクも、旅番組で、列車に」
『オレ、9時の発車』
「ボク、9時半発車」
行き先を訪ねると、ほぼ、私の行程と似ている。
他局のテレビどうしが、微妙にバッティングしている。
『どこかで、出会っても、知らんぷりしろヨ』
「しかとします」
これまで、番組で随分たくさん旅をしてきたものだが、
他の番組と出会った事はなかった。
(プライベートの山登りで、テレビ局の撮影に出会った事はある)
『放送はどっちが先だろう』
「イシマルさんの方が先らしいです」
『よし、先に全部喋ってしまっとこう』
撮影、二日目・・・
おっ、六角のロケ車が止まってるゾ。
この辺りのどこかにいるようだナ。
よし、アイツより先に、観光しちゃえ!
おっ、滝がある。
よし、アイツに見つけられる前に、撮りに行こう!
おっ、造り酒蔵がある。
よし、アイツより先に、試飲しよう!
競うつもりはないのだが、先に荒らされるのが勘弁ならない。
雪山で、新雪に踏み出す順番を、競っている感覚だ。
「イシマルさんは、何て番組ですか?」
『
新日本風景遺産ってんだ』
「へぇ~」
『ところで、六角は、何という番組だ?』
「
呑み鉄ですネ」
撮り鉄ならぬ、
酒呑んで旅をする
てっちゃんらしい。
ま、呑み過ぎないように・・・