「年齢のワリにお若いですねぇ~」
常なる褒め言葉である。
この言葉は、我がウインドのレース、マスターズでは、
当てはまらない。
何しろ、戦っている選手たちの年齢の幅が大きい。
40才~80才。
「年齢のワリ」などと云うおざなりの表現では、収まらない。
65才が42才に勝ったりする。
たりする・・なんてもんじゃない。
60才が、プロもどきの40代に勝ったりする。
年齢差の下剋上が、なにくわぬ顔で行われている。
ゆえに、我らの仲間内で、先ほどの会話は聞いたためしがない。
「年齢のワリにお若いですねぇ~」
さらに面白いことに、この幅を持った年齢どうしは、
ため口である。
一応尊敬はしてるらしく、
さん付けこそしているが、
ウインドに関しての言葉使いは平等である。
喋っているのは、私より15才年下のウインドサーファーだ。
「イシマルさんサァ~ジャイブの時、邪魔しないでくれるぅ~」
『なに言ってんだ!目の前で沈すんじゃねぇ!』
「ケッ、爺い、ニクバナレすんじゃねぇゾ~」
『うっせ~、蒙古斑消してから来やがれ!』
確かに、年齢のワリには、言葉が汚い。
年齢のワリには、大人げない。
年齢のワリには、場外乱闘が多すぎる。
どうやら、この言葉が、我らを言い当てている。
《
ぼくら、今こそ全力!》