《箱根の山》
富士山の隣に存在する、なんてことのない高さの山群だ。
日本地図で眺めると、周囲は、富士山とおっつかっつ。
その昔、大きな火山が、陥没して出来た。
クレーターの中に、芦ノ湖がある。
外輪山の一つに、金太郎で有名な、金時山(きんときやま)がある。
この外輪山を縦走する道が地図に載っている。
乙女峠から登ってみた。
峠から北に向かうと金時山。
今回は、南に南下してみた。
この山道がなんとも楽しい。
背の高いクマザサが両側を埋め尽くし、
晴れていれば、富士山が西側にそそり立っている。
さらには、
はこね竹という笹が、ぎっしり生い茂り、
笹壁の道を造っている。
軽い上り下りを繰り返し、笹トンネルをくぐり、
芦ノ湖を眼下に見おろしながら、外輪山の大きさに目をみはる。
ふと、硫黄の臭いに、首をふれば、
大涌谷が、少なからぬ蒸気をあげている。
さてその昔、
富士山と箱根山、どちらが高かったのだろうか?
昔話では、
富士山と箱根山が、高さを競い合ったそな。
「おれの方が高い!」
『いや、わしの方が高い!』
どちらも譲らない。
では、ってんで両方の頂上に樋を渡したところ、
雨が降り、箱根山の方に水が流れた。
その水で、箱根山が、どんどん削られて今の形になったそな。
んな訳ないのだが、いかにもありそうな昔話だ。
んで、雨水が溜まったところが、芦ノ湖?
火山の科学解説も好きだが、
伝説物語も、その山に登りながらだと楽しい。
面白い山に登っていると、
昔人は、様々な空想を膨らましたようである。