東京魚河岸築地市場が、半年後11月に移転する。
移転先は、2,3キロ離れた豊洲(とよす)だ。
よって、その後、《東京豊洲市場》と呼ばれることになる。
「あと半年かぁ」
37年前、ここで、アルバイトとして働いていた私。
ご挨拶がてら、築地に訪れた。
私が働いていたのは、場内の仲卸の店、《星匡》(ほししょう)だ。
この店は、去年、営業を辞めてしまっている。
同じく、店をたたんだところが、たくさんあり、
場内は、歯が欠けた状態だ。
ある仲卸の方に、尋ねてみた。
「豊洲にも行くんですか?」
『行くよ、行くしかねぇだろサ』
すべての通路を歩いてみた。
気づいたのは、37年前と比べ、魚の絶対量の少なさだ。
魚離れとか、産地直送とかの影響と言われる。
しかし、以前と大きく違うところもあった。
<良い魚を旨い状態>で売ろうとしている。
〆めるのは当然として、血抜き、神経抜きをしている。
つまり、高級品の扱いである。
神経抜きとは、鼻の横から、細い針金を差し込み、
背骨の神経をくりぬく事で、魚の身を硬く引き締める方法だ。
素人には、ちょいと難しい。
「この鯛の刺身、コリコリしてるネ」
飲み屋でオジサンが舌つづみを打っている。
その鯛は、恐らく〆て、神経抜きをしている。
ちょいと待て・・・
〆てと軽く使ったが、
〆る(シメル)方法を知らない方にも、語るべきだナ。
コレは、場所さえ分かれば、誰でもできる。
鯛に登場願おう。
鯛の頭を左に向けて横たえる。
目玉の右側のちょいと上。
そこに、アイスピックなどで、突く。
いわゆる脳みそを一撃して、瞬間的に、亡くなって貰うのである。
残酷に見えるだろうが、徐々に弱るより、人道的かもしれない。
鯛道的と言うのかもしれない。
さっき、魚の絶対量が減ったと言ったが、
それでも、魚河岸の魚の量は、半端でない。
一度見れば、あまりの量の多さに、驚きあきれる事だろう。
魚好きにとってのディズニーランドとは、
築地魚河岸だったのだ。
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