
《タイラギ》
平ら貝とも呼ばれる。
築地市場では、頻繁にお目にかかれる。
という事は、値段が高い。
流通しやすいとも言える。
一応、この貝の出自を知らせておこう。
科学的には、こう分類されている。
《軟体動物門二枚貝網異形亜網ウグイスガイ目
ハボウキガイ上科ハボウキガイ科クロタイラギ属》
「ふざけんな!」と憤慨された方は、正常な神経をお持ちだ。
料理屋のお品書きに、この長々としたお墨書きがのたくっていたら、
誰が食べるだろう?
いや待てよ・・・
むしろ、こういう科学系のお品書きのお店があっても、
面白いかもしれない。
例えば、カツオはこう書かれる。
《カツオ》
<硬骨魚類条鯺亜綱新鯺区刺鮨上目
スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科マグロ族カツオ属>
もういやだ、聞きたくないという方にコレだけは聞いて頂きたい。
《サバ》
<顎口上網硬骨魚網条鯺亜網新鯺区棘鯺上目
スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科サバ属>
(コレは文字化けではありません)
あ~やっぱり聞くんじゃなかったというアナタは、正常です。
魚の分類の世界は、おかしい。
異常なくらい分化しているらしく、
聞きたくないくらいの枝分かれが進んでいる。
学者の方も、放り出したくなっているに違いない。
それでも、分類しきれずに、
《○○の仲間》なんて魚が見つかったりする。
おまけに、当てられる漢字も、複雑だ。
さっき、カツオやサバの所に出てきた<鯺>という漢字。
ハタと読む。
しかし、この漢字自体は、魚漢字辞典にも出てこない(たぶん)。
え~と、タイラギの話だった。
貝柱を食べるのだが、ホタテより大きい。
ホタテより旨い・・と言ったら、ホタテ業界に睨まれそうだが、
実際そうなんだから仕方ない。
ゆえに、お値段も高い。
家庭の食卓に並ぶ貝ではないので、
あまり気にしない方がいいかもしれない。
魚河岸で見つけ時だけ、気にしよう。