《ヴォルテッラの街》
シエナから車で1時間ほど北上すると、朝霧の中に、
天空の城塞都市が現れる。
日本にも、天空の城と言われるモノがあるが、
城壁が残っているだけで、城跡である。
しかし、ヴォルテッラは、人々が住んでいる城の街なのだ。
標高差100メートルほどの丘の上に、
5000人ほどが住んでいる。
朝、遠くから眺めると、霧の中に、
まるで天空の島のように城の街が浮かびあがる。
街は、石でできている。
道路も石でできている。
栃木の大谷石のような石を切り出し、積み重ね、
3階建て4階建ての連なった家並みが続く。
表通りから、横に外れれば、小路が無数に広がっている。
迷路どうしが、重なりあっている。
意識して造った迷路ではなく、
家々を次々に、長い年月の間造り続けたので、
結果的に迷路になったと推測される。
曇った朝、方向音痴の方は、出だし地点に戻ってこられない。
そんな方は、道を上へ上へとひたすら登ってゆけば、
てっぺんにある、大聖堂大広場に出る。
この辺りは、昼間、観光客の笑い声があふれている。
東洋人は、ほとんど見かけなかった。
レストランの前は、相変わらずテントが張られ、
屋外ランチを楽しんでいる。
ここはひとつ、スパゲッティだな。
テントの下で初夏の陽指しをさけることにした。
イタリアは乾燥している。
日なたは、結構な暑さなのだが、日陰に入るとヒンヤリする。
湿度が極端に少ない。
かいた汗が瞬時に消えてゆく。
汗っかきには、理想的な国かもしれない。
白いスパゲッティをたのんだら、
太い麺が出てきた。
うどんほどの太さがある。
触感はモチモチしている。
この地方の特製麺なんだとか。
ボ~ノ
「旨い」という現地語は、どの国でも教えてくれるが、
マズイという言葉は教えてくれない。
訊いても、知らんぷりされる。
少なくとも、「旨くない」くらいは教えておかないと、
その国の食文化は発展しないと思えるのだが・・
ま、イタリアでは使う必要がなかったので、構わないが・・
ボ~ノ、グラッチェ!