「イタリアのみやげは、料理の写真本がいいな」
家人のおねだりを受け、我が家へのみやげは、
イタリアの料理本と決まった。
さて、ボルテッラの街を歩きながら、料理本を探した。
っと・・
探すまでもなく、とある店頭にソレがあった。
《PASTA》 (冒頭の写真)
手に取り、店内のオヤジに差し出す。
「12ユ~ロね」
紙幣とコインを渡す。
買った買った!
喜び勇んで、ホテルに帰る。
子供が、初のお使いに成功したかのように、皆に本を掲げる。
「買ってきたよ~」
すると、通訳さんが・・・
『イシマルさん、それ、フランス語ですヨ』
エッ・・・?
フラン・・?
ペラペラめくってみる。
なるほど、アクサンテギュだの、グラーブだのが出てくる。
確かに、フランス語だ。
さらに表紙を再び見る。
国旗が書いてある。
《青 白 赤》 フランス国旗の色だ。
イタリア国旗は、
《緑 白 赤》
え~~~!
ここは、イタリアじゃないか!
イタリアでパスタとくれば、イタリア語じゃないの?
ここで、ふと、浅草を思い出す。
外国人が、浅草に来て、寿司の本を買いたかったとしよう。
その時、日本語で書いた寿司の本を買いますか?
フランス人なら、フランス語で書かれた寿司の本を買うでしょう。
イタリア人なら、イタリア語で書かれた寿司の本を買うでしょう。
ドイツ人なら、ドイツ語で書かれた寿司の本を買うでしょう。
そういうことだったのだ。
パスタと書いてあるからといって、
イタリアと思い込んではいけない。
でもサ、ふつう思い込むよネ。
イタリアの本屋に、パスタの写真がある料理本だ。
表紙にアルファベットが書いてあれば、イタリアだよネ。
う~~む、
このお土産を持ち帰った私は、当然、尊敬されなかった。
薄~い感謝をされたような気がする。