《岳人》 がくじん
山岳雑誌である。
8月号に、私の雑文がエッセイとして載っている。
題名は、「こんにちはの特訓」
昨年の剱岳登山に向けての特訓話だ。
これからも、時折、連載されるらしい。
私の山話は、登山の手引きにはならない。
道案内をしてくれない。
非常に個人的な話に終始している。
山の話かと思えば、山以外の話ばかりしているケースもある。
一緒に登った友人の駄目さ加減の非難に全力を込めていたりする。
滝田くんなんぞは、その的に指名されて久しい。
可哀想だが、事実なのだから、何を言われても文句言えない。
エッセイの依頼は、時折まいこむ。
締め切り日が指定されている。
2~3週間先というのが、普通だ。
しかし・・
私の場合、依頼された翌日に、すでに書き上げている。
いや、当日に終わっている場合もある。
すぐにでも、出版元に送りたいのだが、
あまり早いのも、出された餌をすぐに食ってしまう犬みたいで、
みっともない。
もったい付けて、寝かせてから差し出したりする。
でも、これは、おかしい。
出来たモノはすぐに渡せばいいのではないか。
そこで、連載の場合、次のエッセイを渡す時、
ついでにさらに次のエッセイまで差し出した。
つまり、2本。
すると・・先方からお願いがきた。
「しばらく、送るのを待って下さい」
実は、さらに2本送ろうとしていた私の腹をよんだとみえる。
先手をうたれたのである。
どちらかと云えば、筆のはやい私だ。
ところが・・・
お手紙となると、攻守逆転する。
途端に筆が遅くなる。
遅いなんてもんじゃない。
はがきを前に、何日も筆をおろせないでいる。
単に、暑中見舞いのはがきの返事に過ぎないのだが、
真っ白のまま、一か月もそのままになっている。
おそらくこのはがきは、年末の年賀はがきに変身するのだろう。
頂いた方には、礼を失する事になるのだが、
なぜか、お手紙に関して、致命的に筆が遅い。
確か・・10年ほど前にも同じことを書いた記憶が。
《キー不精 パート4》2007年9月9日