
わが家のバスルームの前室で、なにやら怪しい音がする。
一年ほど前から、その音は続いていた。
ネズミが騒いでいるような・・
風が、何かをゆらしているような・・
いずれにしても、音は小さく、
気になるほどの音ではない。
では、気にならないのかと言われると、蚊がなく音と同じで、
とても気になる。
「なんなのこの雑音?」
脚立を使って、屋根裏にもぐってみた。
異常ない。
外から外壁に梯子をかけてみた。
異常ない。
それでも、ネズミのような雑音は毎日続いている。
そこで、耳をダンボにして(表現は古いが)、室内をくまなく調べた。
換気窓?
電気が通じている訳ではない換気箇所がある。
直径10センチほどの穴だ。
しかし、その外側には、スリットの入った柵が嵌められている。
スリットの隙間の幅は、5ミリほどしかない。
そんな隙間を通れる動物はいないハズだ。
ハズだと思い込んでいた。
ネジ回しを使って、換気窓を開けてみた。
カパッ!
驚くことに、その穴は糞だらけで塞がれかけていた。
その糞をひったのは・・・
コウモリだ!
漢字で書けば蝙蝠が、糞をひりながら基地を作り、
親子4人で暮らしているではないか!
つまり、彼らの会話が、ネズミのチュウチュウ雑音だったのである。
っということは・・
彼らは、5ミリの隙間を通り抜けられる体だという事になる。
っと、その時だった!
パタパタパタパタ
突然、一匹が、羽ばたき始めた。
狭い洗面所を蝙蝠が飛び交っている。
5ミリの隙間を通れる小さな肉体と思っていた哺乳類が、
大きな羽をひろげ、私の周りを蝶々のように、はばたいている。
洞窟探検でコウモリには慣れている私なのに、
家の室内を飛び回るコウモリには、首がすくむ。
なんやかやコウモリ一家は逮捕され、屋外退去となったのである。
ん・・まてよ?
あの形状の換気窓は、他にも場所にもいくつかあったゾ。
よし、明日からひとつづつ開けてみよう。

洞窟にいるコウモリはほとんどの時間、眠っている