ドラマのロケ現場では音が、おおいに気になる。
ロケは、基本的に、同時録音を行っているので、
セリフなど、役者がたてる音以外が入ると、NGとなる。
例えば・・・
《犬が吠える》
ロケ現場とは、騒然としている。
スタッフの声が飛び交っている。
「おい、早くしろ!」
「反対だよ、下手は!」
そして、本番の声がかかる。
「よ~いスタート!」
完全に静かになる。
すると、なぜか犬って奴は、吠え出すのである。
静けさが気に入らないのか、ワンワンとやりだす。
「カットぉ~!」
やり直しとなる。
例えば・・・
《家屋建設工事》
タンタンタン カンカンカン
信じられないほどの騒音をたてている。
二軒隣りに新築の家を建てている。
止めてくれとも言えない。
向こうだって、施工期限がせまっている。
そこで、スタッフが、頭を下げにゆく。
本番の30秒だけ、作業をとめて貰うのだ。
監督のOKが出れば、建設再開となる。
気のいいアンちゃんなんかだと、手を休めて、
撮影を覗きにきてくれたりする。
ぼくらが食べている昼弁当を見て、同情してくれたりする。
「毎日それかい?」
『3食これです』
例えば・・・
《救急車のサイレンが聞こえてくる》
こいつが現れると、まず撮影不可能だ。
あの音は、けたたましい。
相当遠くても、音声さんから許可は出ない。
「音階はレ~ラ~レ~ラ~ですね」
さすが音声さんの耳はするどく、音階まで当ててしまう。
例えば・・・
《飛行機》
ジェット機の音は、我らの耳に聞こえなくても、
マイクが拾ってしまう。
あまりにも高性能なマイクなので、低音に敏感なのだ。
ゴオオォォォォォォォ~
例えば・・・
《ヘリコプター》
飛行機の場合は、通り過ぎれば、すぐに始められる。
ところが、ヘリの場合、去ったと思った直後、
舞い戻ってきたりする。
バタバタバタバタ~
しつこいヘリは、我らの上空をクルクル回っていたりする。
「竹槍で落としてやろうか!」
危ないことまで言い出す、年配の古いスタッフがいたりする。
例えば・・・
《飛行船》
なんの音だろう?
飛行機でもヘリでもない。
ブ~~~ン
空を見上げた。
おお、アレは飛行船ではないか!
ドコモの巨大な宣伝が描かれてあったりする。
ゆったり近づいてきて、ゆったり去ってゆく。
高度150m。
あれっ、止まったゾ。
飛行船の下部に付いている客室から何者かが手を振っている。
よく目れば、アレは・・・イシマルじゃないか!
何をやってるんだ。
分かったから、手を振ってないで早く居なくなりなさい。
邪魔なんだヨ。
こら、どけって!
これは、京都で、10年ほど前に実際にあった出来事でした。