《5:45出発》
ドラマのスタッフの出発時間が印刷されている。
もちろん、朝、東京都内。
ロケバスに乗せられ、2時間以上運ばれ、
群馬だの山梨だの茨城だのに連れていかれる。
撮影が終われば、再びバスにゆられ、都内へ。
到着は23時を大きく超えている。
それから帰宅して、なんやかや・・・
翌朝、再び、《5:45出発》
そんなスケジュールが連日続く。
よくもまあ、5:45にバスの出発場所まで来られるものだ。
皆、そんな場所に住まざるをえない生活をしている。
終電にしてもしかり。
そして、感心してしまうのは、
遅刻する人がひとりもいないという事実。
プロ意識というか、好きだから始めた仕事にプライドがあるのか、
遅れて間に合わなかった人などいない。
いるかもしれないが、少なくとも私は見ていない。
移動の車内では、当然
のごとく、爆睡だ。
走りだした途端、全員がコトンと落ちる。
ロケバスに乗り合わせた、おしゃべりな役者が、
ペラペラくだらない話をしていても、落ちたまま身動きしない。
ロケ現場の小さな移動時間でも、
もれなく落ちる。
たった10分を惜しむかのように、睡魔に襲われる。
「移動飯で~す」
バス移動中に弁当を食べてくださいというお達しが出る。
走りだすとあっという間に食べ終わる。
終わった弁当を片づける間もなく、
コトン。
やがて、「着きました」の不愉快な発令に、
ヒョイ
見事に目を覚まし、仕事にかかるのである。
このチョコチョコ寝は、意外と疲れがとれるようだ。
そうでない限り、あれほどの長時間働けない。
一日の睡眠を、数回に分けて押し頂いている。
《
コトンとヒョイ》ができない人は、
ドラマスタッフになれないかもしれない。
いや、出来なかった人も、いずれ出来るようになるから、偉い!
おい、ロケバス車内では、静かにしましょう。
おしゃべりな君!