《2礼2拍手1礼》
神社の正式儀礼である。
2礼をした後、我らは、必死で祈る。
必死でもなくとも、いいかげんでも祈る。
祈ったふりをする人もいる。
そんな時だった。
四国の山奥に、神社があった。
とてつもなく大きな杉に大繩が巻かれ、
冷厳あらたかな雰囲気に満ちていた。
っと、その片隅に、不思議な像が鎮座されていた。
自然石のエビス様だと言う。
どういう意味だろう?
自然に転がっていた石に、絵を描いたら、
エビス様が生まれたのである。
ふむ、そこまでは良かった。
その横に、タテカンがあり、文字が書いてあった。
《
日本一の自然石恵比寿
声を出して、願い事を申し上げ、ご参拝ください。
ご利益があります》
あんですと?
声だして願い事を述べよと勧めている。
パンパンと拍手した後、
声を出してと言っている。
ふむ・・?
いかがだろうか?
願い事ならまだしも、祈り事だ。
その場所は、他にも人がいる。
最低、一緒にいった人がいる。
そんな時、声に出して祈り事を、言えるだろうか?
(バレちゃうじゃん)
言ってもいい。
いいが、むしろ声を出して言うべき事ではないような気がする。
ひっそりと願う言葉こそ、神前の秘め事だと思うのだが・・・
かの自然石は、「声をだせ」と勧めている。
きっと、声を出す事に意味があるのだろう。
うむ、
私?
私は頑張った。
声を出した。
「ぶつぶつぶつぶつ・・・」
声が小さかった。
でも、出したゾ。
「今年は・・元気でネ、どれくらい元気かというと、
結構元気でネ、いっぱい遊べてネ、いっぱい食べれてネ、
え~と、なんか面白い事が見つかってネ・・
あはは、アアタの像もとてもユニークで面白いのですけんど、
よろしくお願いします」
徳島県 大杉駅の近くに立つ古木 大杉