洞窟探検家、吉田勝次氏の本が出版された。
《
洞窟ばか》 扶桑社
思い切った題名である。
ばかを付けている。
ひとつ間違うと、キワモノ的に思われかねない。
本の腹巻きに、こんな事が書いてある。
「圧倒的な暗闇に広がる美しくも恐ろしい世界」
ドキュメント本と言うのは、
作者を知っている人が読むのと、
知らない人が読むのとでは、感慨が違うハズだ。
ところが、この本に関しては、その差がない
と、
作者を知っている私が、言う。
理由は、作者自身が、あまりにも素直に語っているからだ。
作者吉田勝次には、普段から、
作戦だの、取引だの、偽装だのという考えがない。
ただ素直に生きているだけだ。
やりたい事を賢明に努力しているだけだ。
最も死に近い探検をしているので、
「死にたくない」研究をしているに過ぎない。
この本の中で、本人は語っている。
「洞窟の写真集を出したい」
その写真の数々は、とんでもないモノを映し出している。
究極の場所に到達した人間だけが目にした光景を、
持ち込んだ大量の光源によって、そこに行くことのできない、
多くの人類の記憶に留めようとしている。
彼を表現するぴったりの言葉が、本の腹巻きの裏側に書かれていた。
ひとなつっこくて
怖がりで
ロマンチストで
たまにアホ