《ホワイトアウト》
雪山で、霧が発生した時にコレがおこる。
雪山には、そうそう行かないので、
コレを体験するには、スキー場が手っ取り早い。
結構、頻繁におこる。
目の前が真っ白になる。
真っ暗は、いつでも経験しているが、真っ白はここでしかない。
スキーをしているので、顔にはゴーグルをつけている。
裸眼より見える筈だ。
ところが、視界は10mもない。
5m先も見えなくなる。
問題は、スキーヤーだ。
突然発生したこの現象。
なんとかしなければならない。
本来なら、ジッとしていればいいのだが、
ゲレンデの途中まで降りてきたスキーヤーは、
動こうとする。
ところが、上下左右がわからなくなる。
面白いことに、平衡感覚がマヒする。
本人は
地球に対してまっすぐ立っているつもりなのだが、
ドタリ
倒れたりする。
どちらが下りなのだか分からないのだ。
周りに樹木でもあれば、ぼんやりとした黒い立影で、
地球との関係が分かるのだが、
近くにない場合、タテヨコ関係が分からなくなる。
アナタはこう考えるだろう。
「だって、倒れたんだから、ゲレンデの上下ぐらい分かるでしょ」
そう、その時は分かる。
しかし、本人は立ち上がる。
立ち上がった瞬間。
再び分からなくなる。
ドタリ
又、倒れる。
再び、立ち上がる。
「アレッ、どっちに進めばいいんだ?」
ドタリ
「ボクって、遭難してる?」
っと、ここまで語って、ハッと気づいた。
ホワイトアウトとは、霧が出ている状態だよナ。
スキー場は山にへばりついている。
ところで、此処の山は何だっけ?
思い出した。
《霧ヶ峰》