ホテルの廊下が長い!
よくある。
頻繁にある。
どのくらい長いかと云うと、とんでもなく長い。
行って帰ってくるのに、タクシーを呼びたくなる。
(おおげさです)
自転車が欲しくなる。
(ほんとです)
たまたま一番奥の部屋になる事がある。
ユトリロの描く絵画の遠近法によれば、
最果ての、点に位置する部屋である。
槍の先端という表現にもあたる。
むしろ、
吹き矢の先っぽが正しいか。
その部屋を出た私が、長い廊下をソソと歩き、
エレベーターホールまでやってくる。
下向きのボタンを押す。
っと、その時、我に返るのだ・・
「部屋に、携帯を忘れた!」
やには、廊下を振り返る。
ユトリロの遠近法が、はるか彼方を指している。
「あそこまで戻るんだゼ」
やはりタクシーを呼びたくなる。
これが、曲線の通路であったり、
あるいは、何回も曲がった廊下であれば、
さほどの憂慮はしない。
戻る気力が湧いてくる。
だのに・・・
直線の廊下は、私に難題をふっかけている。
私の精神力を試している。
今風に云えば、
メンタルを鍛えようとしている。
「アナタは何回くらいの往復に耐えられますか?
サッカーのサイドバックは数十回全力疾走で耐えてますゼ」
ダッシュ!