《アナゴ》
アナゴは中途半端だ。
似たようなウネウネの友達がいる。
ウナギに、ハモ。
その中間あたりで、中途半端な主張をしている。
ウナギは、<食ったら精力!>
的な、絶倫系を主張をしている。
そのウナギによく似た、アナゴは、
精力的な風格はない。
どちらかというと、江戸前の寿司屋や天ぷら屋で、
舌鼓をチッチと打つ、粋きの世界でウネウネしている。
ウナギがご飯と結託して、鰻重に特化しているのは、
子供の文化だと仮定しよう。
(ごはんを食べる為のモノとして)
すると、アナゴとは、お酒をたしなむ際のアテとして、
海からの優れた贈り物とは言えまいか?
つまり、
アナゴを食べるのは、大人の文化だと、言えまいか?
アナゴの白焼きが湯気をあげて、箸を手招きしている。
ワサビを乗せろと、囁いている。
醤油は少しだけね、といましめている。
冷酒をちびりとやり、白焼きをガブリとやる。
ジュワ~~~ン
上品な脂が私のからだに巡りだす。
アナゴという海底の作品は、舌で味わうモノではない。
からだ全部で感じるモノかもしれない。
ちびり・・
大人が食べている横で、子供がうらめしげに見ている。
「きみらは、鰻丼を食べてなさい」
『うぅぅ・・・』
「まだ、はやい!」