《豚のスペアリブ》
スーパーに売られていた。
どうやって食べるのか、という方法を考える事なく、
つい、カゴに入れてしまった。
こいつを焼くには、炭火しかない。
炭火ならば、キャンプしかない。
簡単な三段論法が成り立ち、すぐさまキャンプに向かった。
現物を取り出してみると、ズシリとした重みがある。
骨の数は、7本。
塩コショウをふりかけ、網の上にドタン。
売っていたタッパの中に、何やら付属のタレが入っている。
「コレを塗れ」と書いてある。
焼きながら、タレを塗りたくる。
ジュゥ~~
いい香りが、辺りいったいに広がる。
BBQといえば、アメリカの得意芸。
映画でも、庭先で父親が自慢げに肉を焼いている。
その中に、スペアリブのどでかいカタマリがあった。
アレはコレだったのだろうか?
アッチは牛で、コッチは豚だが、
迫力的には負けていない。
肉を切り刻んで、元の存在を忘れさせようとするのもいいが、
骨付きの塊は、具体性があって、
肉に対する感謝の気持ちが湧いてくる。
お亡くなりになってくれた豚さんに、心の中で、
両手を合わせている。
沖縄に行くと、
《豚の丸焼きあります》という看板が、道路脇に出ている。
最上級の感謝をしたくなる看板だ。
どうやって我々が生きていけるのかを教えてくれている。
注文すれば、県外でも送ってもらえるそうだ。
いつか手に入れて感謝したいものだと、
電話番号だけ控えて、その日が来るのを遠待ちにしている。
たとえ子豚だとしても、
何人集めれば、弔意を示せるだろうか?