「ええいめんどくせーこのまま焼いちまえ!」
買ってきた鶏肉は、モモ一本まるまま。
やはり、一本丸まま焼きがいいでしょう。
素敵でしょう。
そこは炭火の出番でしょう。
遠火の強火でしょう。
岩手炭が、真っ赤に熾ったところで、
私が網を折り曲げて造った、高揚げ式の装置が登場する。
3段階の高さに網を置ける。
2センチ~10センチまで、高さ調整ができる優れもの。
タンのように、強火で焼きたい時は、最も低くし、
鶏や、玉葱などは、高い網にする。
ジワリジワリと、あぶる。
途中、ジュッと肉汁が落ちる。
ボッ
炭から炎があがる。
この炎で直接肉が焼けると、煤臭く焦げてしまう。
そこで、待ってましたの出番がくるのが、
《ボーボー君》
そんな名前の商品はないのだが、私たちが命名した。
乾電池で、風がドライヤーのように噴き出す装置だ。
炭を熾す時に活躍するのだが、
サンマを焼いたり、脂の多い肉を焼いたりする時に、
「待ってました!」と出てくる。
サンマ焼きの、うちわの役目をするのがボーボー君だ。
炎を横にズラして、炭の遠赤外線だけを肉に当てる。
ひとり一本のモモの丸焼き。
銀紙を巻き付け、片手にビール、逆手に丸焼き!
至福とは、このこと・・
ガブリッ
表面カリカリ、中身ジューシー。
このモモ肉の形・・・
じっと見ていると、あの半島に似ている。
《下北半島》
「この辺りが、大間だな」ガブリッ
「ここが、恐山だゾ」ガブリッ
「シジミの小川原湖がこの付け根」ガブリッ