
キャンプ用の箸は、三角形がいい。
キャンプ時に、箸が転がる。
どういうことか?
キャンプ場の地面は、フラットではない。
なにかしら凹凸がある。
そこに、簡易テーブルを置く。
家庭のリビングの様なフラットはのぞめない。
微妙な傾きのテーブルができあがる。
そこに、これまた簡易食器である皿や茶わんが並ぶ。
おそらく傾いている。
丸箸を乗せれば、コロコロと転がってゆく。
肉をついばみ、皿に箸を乗せた途端、
コロコロコロリ、皿からテーブルへ、
さらには、地面に箸が落ちる。
こりゃダメだってんで、四角い箸を持ってキャンプに向かう。
四角ったって、角が取れた四角に過ぎない。
丁寧に皿にのせないと、やはり転がる。
転がりだしたら止まらない。
地面に落ちて、皆に、「1・2・3」と言われる。
食べ物でもないのに、「1・2・3」気合いを入れられる。
一晩に一回くらい落ちるのなら、まだ許せる。
これが、5回も6回も、ヘタすると、毎回転がるものだから、
「コノヤロー」叱りつけたくなる。
プラスチックの四角い箸にもチャレンジさせた。
エッジが立っており、なかなかの成果をみた。
それでも、一度も転がらないとはならなかった。
今のところ、転がりにくいのは、割りばしだ。
しかし、キャンプで毎回割りばしというのも気が引ける。
やはり、洗って使い回せる箸にしたい。
そこで、欲しいのが、三角形の箸だ。
どこかで見た事がある気がする。
するが、どこに売っていたのか、記憶が定かでない。
ここで、ハタと気づいた。
なぜ、家庭では箸が転がらないのに、キャンプでは転がるの?
テーブルの傾きだけではないだろう?
では、なぜ?
答えは、簡単だった。
家庭では、箸は、箸置きか、
直にテーブルに置く。
キャンプ時には、なぜか、
皿の上に箸を置く。
恐らく、テーブルが、
さほど綺麗と言いきれない状態になっていると思われる。
さっき箸が落ちたように、色んなものが時折、地面に落ち、
拾い上げて、テーブルに乗せている。
虫も飛んできてとまる。
ワインはこぼされ、肉片がこびりつき、
キャベツの千切りが、へばりついていたりする。
慣れていない者にとっては、とても清潔とは思えない。
「キャンプっちゃ、こうしたものサ」
磊落さを装っているが、言い訳にしか聞こえない。
なんせ、靴を履いて土の上での食事なのである。
そこで、口に入る箸を、せめて皿の上に置くのである。
その箸が、土の上にまで転がり落ちるのだら、
なにをかいわんや・・・
箸が転がって、オジサンは泣いている。