
先日、蕎麦打ち道具を売っている店の前を通った。
二度も三度も振り返った。
ただ通り過ぎるのが難しかった。
買う予定はないのに、店の中に足を踏み込んだ。
まず目に入ったのは、
【
こね鉢】
中が赤く、外は真っ黒。
サイズが大中小とあり、値段もそれぞれ。
うどんも打っていいのかなと疑問が浮かぶ。
次が、
【
麺棒】
これもサイズ、つまり長さがいく通りもある。
太さも様々。
巻き棒とのし棒に分かれ、カバ材が高級だと書いてある。
【
のし板】
1m四角ほどもあり、蕎麦を打つ事を想像するより、
この板を、
普段どこに仕舞っておくかで悩み始めている。
【
蕎麦包丁】
<安来鋼磨 会津蒔絵 漆柄 桐箱付>
<伝統鍛冶総火造り蕎麦包丁>
なんてのがズラリと並び、凄すぎて目がくらむ。
【
こま板】
打った蕎麦を切ってゆくときに、包丁に当てて、
蕎麦を押さえておく板である。
《桐》の板があったので、一番高いだろうと思ったら、
その隣にある、《けやき》がもっと高かった。
っと思ったら、さらにその隣にある《本漆》はもっと高い。
いや、《黒壇》はさらに高い!
いやいや、《イチイ》は、値段がハネあがる!
おいおい、《木曽檜柾目》なんて、とんでもないゾ!
え~~、《黒柿帯木曽檜》で跳びあがる!
やばい・・・
この店を早く出なければ・・・
目が慣れ始めている。
目が慣れる・・とは、買い求める時に必要なアイテムだ。
買い求めない人に、慣れるは、必要ない。
むしろ、無関心こそが求められる。
あぶない・・・
黒柿だの柾目だのの漢字が読めるようになっている。
「うどんも捏ねていいのなら、鉢くらいは買ってもいいのかな?」
不埒な考えが浮かんだ。
危険な流れになっている。
誰かに、後ろから引っ掴んで貰って、
強引に、この店を脱出せねばならない。
「五郎丸にタックルして貰えば、あっさり退出できるのだが」
なぜ、五郎丸が登場するのかわからない。
明らかに、我を忘れかけている。
誰かぁ~レッドカードを出してくれぇ~~~