
「コンチハ~樹を切りに来ましたァ~」
イシマル工務店は、大木も切る。
間違えた・・中木も切る。
昨日の中木切りは、伊豆の村の一軒家だった。
チェーンソーを手に、颯爽と樹木の前に立つ。
ターゲットは、直径40センチ、高さ15mの杉。
真っ直ぐ伸びており、切りやすい。
まずは、樹の周りをグルリと廻り、
木となりを観察する。
枝は広がっているか?
どちらに傾いているか?
木は、たいがいどちらかに傾いている。
傾いている方向に倒すのが最も簡単。
ところが、木は単独では立っていない。
倒す方向に、大切に育ててきた他の木があれば、
巻き込まれて悲惨な結果をまねくやもしれぬ。
「え~大切な先祖代々のモミジがぁ~!」
避けたい。
「では、少しずらして倒そう」となる。
そこでまず、長いハシゴを木に立てかけ、
ロープを持って、私が登ってゆく。
高さ6mほどの場所に、ロープをくくりつける。
そのロープを倒したい方向に伸ばし、数人で引っ張る。
昨日の引っ張り係りは二人・・・(少ないかも?)
さて、チェーンソーの出番だ。
木が傾いている方向を、下(しも)と呼ぼう。
対し、その反対方向は、上(かみ)と呼ぶ。
最初に、下の方に、直径の3分の一ほどの切り込みを入れる。
三日月形に切り込む。
のちに、木が倒れる助けになる。
いよいよ、上から本格的に切断にはいる。
先ほどの三日月の3センチほど上部の水平ラインを切る。
ギャ~~~~~~ン
いきなりケタタマシイ音量が、山村に鳴り響く。
切りクズが、吹き飛んでゆく。
「もうすぐ切れるゾ~」
ロープを握り、歯を食いしばっている二人に声をかける。
彼らは、下方向に対し、90度の角度に引っ張っている。
っとその時だった。
メリッ
チェーンソーが木に食い込んでしまった。
やはりと云うか、二人の引っ張りなど屁のようなもんで、
何百キロもある木はびくともしない。
木は、自らの倒れたい方に倒れる。
ゆえに、チェーンソーは挟まれてしまった。
まずい・・・
もう一本のチェーンソーで、新たなる切り込みを入れてみよう。
入れてみた。
ギャ~~~~~~~ン
メリッ
またもや木に挟まってしまった。
2本のチェーンソーを噛みこんだ杉の中木。
ど・どうする?
カナテコで何とかしてみるか?
切り口にカナテコを突っ込み、テコの原理で力を加えてみた。
すると・・・どうだ・・・
15mもある杉が、じわりと動いたではないか!
もう一本、カナテコを!
しかして2本のカナテコで、グイグイッ
突如、ドスン!
切り株の横に、だるま落としの如く、杉がまっすぐ落ちた。
やには、ゆっくり倒れ始めたではないか!
逃げろ~~~ロープを離せぇ~~~!
メリメリメリ、ドッタ~~~~~ン!
大音響を発して、杉は大地に横たわった。
巻き込まれた他の木は、なし。
ただの偶然。
成功・・・かな?
「はい、次のいきま~す」
ふたたび、15mの高みを見上げるのであった。
