レースカーテンが寸断されている。
田舎の親戚のウチだった。
これは、何だろうか?
数日前、この家の主人が、家の裏で、ハチの巣を見つけた。
人の頭ほどもあるスズメバチの巣だ!
驚いていたところ・・
チクッ
鼻の頭を刺されてしまった。
みるみるうちに顔が腫れてゆく。
「おおい、何か網にするものはないか!」
大声で、カミさんを呼ぶ。
スズメバチを退治しようというのだ。
大胆というか、無謀ともいえるご主人である。
一方、肝がすわっているカミさん。
グルリ見回すと・・・
目の前に、網とおぼしきモノを見つけた。
レースのカーテン!
とっさにに手で掴み、思いっきり引っ張る。
ところが、思いのほかカーテンはしっかりしている。
千切れやしない。
すぐさま戸棚に走り、ハサミを取り出す。
ジャキジャキジャキ!
後先考えず、切断してしまった。
「はい、コレ」
渡されたご主人。
帽子の上から、カーテンをすっぽり被り、
スズメバチ退治に励んだのであった。
残されたのは、寸足らずにぶらさがったレースカーテン。
ナゾのカーテンとして、来訪者の首をひねらせている。