《号29めもか》
島から島を結ぶ船の船体に、
「この船はこういう船ですよ」
と、名前を書いてある。
日本の港に泊っているすべての船舶には、
船体番号を書いてある。
小さい船から大きな舟まで、すべらく船名が書かれている。
新造船を造れば、船体番号の数字が増えてゆく。
船は、トラックに似ている。
運転席から見ると、両側(両舷)がある。
その側面に、トラックは名前を書く。
《石丸工務店》
このトラックが走行中、
トラックの左側を走っている車から見ると、
その文字は、こう書かれている。
《石丸工務店》
ところが、トラックの右側を走っている車から見ると、
このケースがある・・
《店務工丸石》
進行方向を意識した書き方である。
以前ほどではないが、この書き方はまだまだ生きている。
そんな時、冒頭の文字を見つけた。
《号29めもか》
さあ、アナタに問いたい。
この中の数字は、
29ですか?
92ですか?
これまでの並びは、
漢字かカタカナか平仮名だった。
まさか
算用数字が書かれているとは、考えていなかった。
ドキッ?
どちらなんだろう?
「92号なんて、そんな数の船番号はないだろう?」
この考えは間違いかもしれない。
103号なんてのもある。
さあ、アナタはどう考えますか?
よし!
答えを知るには、
あの船の反対側に書かれてある文字を見なければ!
(あの桟橋まで、走って見に行こう!)
気合を入れたその時、
『出航いたしま~す』
乗船した船が、カメラのシャッターを押した瞬間に、
岸を離れたのであった。
うぅぅ~答えは闇の中にぃ~
いや、波の中にぃ~