

走っていると、小川に出くわした。
両側をコンクリーで囲っている幅20mほどの川だ。
降りられる階段があったので、降りてみた。
下は、小さな段丘となっている。
つまり、川を横向きに切ったとすると、
凹の字のようになっている。
段丘は快適な草むらで、走るには、起伏にあふれ面白い。
ヒザにも良いってんで、どんどん進んでいった。
随分走った頃、「そろそろ上にあがらなきゃナ」。
元の道に戻りたいのだが、いっかな登りの階段も、
梯子も現れない。
どういう事?
ま、なんとかなるだろう・・
もうしばらく進んでみた。
おかしい・・
さっき降りる箇所があったのだから、
そろそろ同じような箇所が出てくるハズだ。
でなければ、もし、この川が増水した時、
溺れちゃうじゃないか!
っとその時、目の前に樹木が現れた。
葉っぱは落ちているが、生きている樹だ。
よし、登ろう!
まてよ?先っちょの細い枝から、
川の上のフェンスに取り付けるだろうか?
これも、クライミングである。
3点確保、バランスをとりながら、じりじりと登ってゆく。
ところが、意外やフェンスまでがやや遠い。
ええいで、跳びつくか?
失敗したら・・あ~~~と落っこちるナ。
「河川敷で、骨折!」
新聞に載るかもしれぬ。
ままよで、両手ジャンプするか?
失敗したら・・ゴロンゴロンと落下だナ。
「河川の底で、脱臼!」
笑われるやもしれぬ。
っとそこに、目の前の家からオジサンが出てきた。
上から、声が降ってくる。
「アンタ、川歩いてきたんかい?」
『ええ』
「この先ずっと上がり箇所ないヨ」
『だろうと思って、登ってるんです』
「あぶないヨ」
『でしょうネ』
「わたしは・・なんもできんがネ」
アレレ?ハシゴでも持ってきてくれるのかと思いきや、
言うなり、ウチに引っ込んでしまった。
仕方ない。
丁寧に丁寧にカウンターバランスをして、
ヨッコラショ!
護岸のコンクリーを片手で、ガッシと掴んだ。
はい、生還!
教訓;コンクリー河川は、どこでも登り口があるとは限らない。
あっそうだ・・写真を撮っていた隊員の救出を忘れてた。