
「痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイ!」
私が、悲鳴をあげている。
あげている場所は、スキーリフトを降りたところだ。
リフトから降りた途端、
隣の人とスキー板がからんでしまい転んでしまった。
すると、不思議なことに、
私のスキー板がエックス状に雪面にささり、
身動きがとれなくなった。
私は仰向けになり、声をあげている。
というより、両足の膝の内側のジンタイが悲鳴をあげている。
心無い方が、ちょっとでも膝を押せば、
内側ジンタイが、ググっと伸びるだろう。
いや、ブツリと切れる気がする。
そんな状態で、私が喚いている。
「痛い痛い痛いイタイイタイイタイ・・!」
近くにいるのは、滝田くんだ。
情けなく喚く私に呆れている。
急遽、スキー板を外してくれた。
そこまでに掛かったタイムは30秒。
私的には、永遠とも思える長いタイムだった。
恐る恐る起き上がり、ヒザを確認する。
ふむ・・なんともない。
なんともどころか・・
コレがとんでもない効果を生んだのである。
スキーとは、乗り方をかんがみるに、
カーブするときは、
ヒザの内側のジンタイが伸びる方向に力を使っている。
したがって、ベテラン選手たちの内側ジンタイは、
長年の間に、少しづつ伸びて強くなっているハズ。
そこへ行くと、新参者の私のヒザ内側ジンタイは、
まだ伸びが足らないハズだった。
そんな時、この痛い痛い事故が起こった。
するとどうなる?
スポーツジムで、リハビリを受ける患者を思い起こそう。
ある方向に、懸命のストレッチを受ける。
痛い。
相当、痛い。
「痛い痛い」と喚く。
喚きちらして初めて、
その部位が伸びる。
そうだったのだ!
私の膝の内側のジンタイは、事故によって、
通常のストレッチでは、やりえない強度を与えられたのである。
我慢の限界を超えて、伸ばされたのである。
さあ、それでどうなった?
その後、私のスキーは、格段にカービングが優れ、
掘れた雪面を苦にする事なく、絶好調となったのだ。
ケガの功名とはよく言ったもので、
気を良くした私が、転倒時、介抱してくれた滝田くんに、
その旨を結果報告したところ、
返った言葉は・・
「ケッ」