
未だに、よく解らないことがある。
随分努力したが、判別不能な奴らがいるのだ。
アナタに訊きたい。
「オットセイとアシカとアザラシを判別できますか?」
以前どなたかに、違いを説明してもらった記憶がある。
「おおそうだったか!」
はっしと、左手の上に右手のコブシを打ち付けた。
しかし、一晩寝たら分からなくなった。
彼らに関心がない訳ではない。
むしろおおいに興味がある。
だって・・・
水族館に行くと、《アシカショー》なるものがある。
当然のごとく、アシカ君がスルーと滑って出てくる。
オウッオウッ
その時に、同時にオットセイ君も登場したりする。
オウッオウッ
さらには、アザラシ君が、これみよがしに奮闘したりする。
オウッオウッ
喋り方も同じじゃないか。
オウッオウッ
この三名、芸的には、同じ芸をする。
ヒゲの上に玉をのせる。
ワッカを投げると、首で受け止める。
観客に、片手を振る。
身体の下で、両手を叩く。
前足だけで、逆立ちをする。
さあ、今芸をしたのは、誰だっけかな?
わからない。
体色でも判断できない。
身体の大きさでも判断できない。
舞台上で、こまめに餌を投げやっているオネエサンが、
「アシカ君のあっちゃんでしたぁ~」
と云うから、アシカだったのかと判断しているだけだ。
「オットセイのおっちゃんでしたぁ~」
と言われれば、ハイそうですかと納得する。
どちらかと云えば、私は、動物の判別は得意な方である。
動物園に行っても、
猿くんと、チンパンジーくんと、オラウータンくんは、
はっきり名指しできる。
よもや、ゴリラくんにいたっては、
「君ぃ!」
肩組みしたくなる。
(ウソです、組めません)
だのに、オットセイとアシカとアザラシの判別がつかない。
水族館歴50年を超えたのに、まだ判別の方法がわからない。
ある意味、彼ら三名に失礼だとも言える。
三名に、
「ふざけんな!」
と言われても、返す言葉はない。
職業人として、同じく舞台で餌を頂いている者としては、
「アンタだれ?」はマズイだろう。
「いつも拝見しております、○○○さんですねェ~」
手をこすりながら・・・
(アンタ誰だろう?)