
またもや、チェーンソーの出番!
モミジの古木を切る。
高さ13m。
最大腹50センチ。
腹とは、樹木の最も直径が長いあたりを撫でてみた腹だ。
そこを切る。
立っている樹を遠くから眺め、
どの角度に倒すのか、望見する。
倒すべきモミジにトラロープを巻き付け、
「そっちに倒れないでネ」とばかり、
数人の人間が引っ張る準備をする。
さて、チェーンソーは歯を替えたばかり。
「触れなば切り刻んでやる」、の意気込みに燃えている。
エンジンをかけるべく、ヒモを引っ張る。
ギャ~~~~~~~~~~~~~ン!
私の顔から、50センチと離れていない場所で、
チェーンソーが、高速回転を始める。
ヘリコプターのプロペラも、人生初の恐怖の大王であったが、
チェーンソーの猛回転は、その比ではない。
手元が震えながら、目の前で激しくわめいている。
文明を信じていなければ、チェーンソーは持てない。
50年以上生きてきた大木を切るには、
それなりの覚悟がいる。
樹木に対する尊敬の気持ちも湧きあがる。
両手を合わせて、いざ、
ギャ~~~~~~~~~~~~~ン!
「倒れるゾォ~、みんな離れろぉ~、にげろぉ~!」
ドッタアァァ~~~ン!
大地を震わせて、大木が倒れる。
巻き添えになった、梅ノ木だのカエデだの、桜の木が、
メリメリ、バキャッン、ドカンッ
被害にあう。
片腕を折られたり、根こそぎ削られたり、痛い目にあう。
こればっかりは、素人の私には、コントロールが難しい。
「ごめんね・・」
合掌ですましている。
さあ、切り刻むヨ~
皆でよってたかって、大木を切り刻む。
椎茸のボタギにしたり、マキにしたり、
運べる大きさに切ってゆく。
まるで我らは、アリだ。
そして、チェーンソーを持っていた私は、カミキリ虫だ。
その後、不思議なことに、チェーンソーは壊れたのである。
ウンともスンとも、エンジンがかからなくなった。
これは・・・倒されたモミジの呪い・・・
ではありません。
単に、私の手入れミスです。
