
『生ビール12杯とウーロンちゃ3つね』
宴会で、若手の幹事が叫んでいる。
よくある光景だ。
しばらくすると、生ビールが
4つほど、運ばれて来る。
何も言わなくても、奥に座っているイシマル課長の所に
最初に配られる。そして、隣の課長補佐にも。
又又しばらくすると、
4つ来る。
バラまかれる。ウーロン茶も届いたりする。
又又又しばらくすると、最後の
4つが来る。
そして、今来たばかり、泡と液体の割合が
ベストの
ジョッキを、持ち上げた
若手の幹事が
『では、課長、ひと事!』
ひと事の為にヒザ立ちした課長の右手には、
泡がほとんど無くなった、ビールなのかウーロン茶なのか
わからないモノが、ぶら下がっている。
見るからに、
美味しくなさそうだ。
部屋の入り口から、奥に向って、泡の量が
一定の割合で、
少なくなっている。
つまり!
最も美味しいモノを飲んでいるのが、
幹事の若手で、
最もまずいモノを飲んでいるのが、その場の
上司だ。
あげくに、泡が無い分少し、少ないので、
(イシマル課長ガマン出来なくて、少し飲んだみたいよ)
うう~・・・
そろそろ、ルールを変えませんかあ~
逆さまにしようよお~
(アタシィ、お酒飲めないので、ワカンナ~イ)
はいはい、では、町内会で、
ぜんざいを食べる
という事になったとしましょ。
『さあ、出来ましたヨ~』
熱々のぜんざいが、鍋いっぱいに湯気を立てている。
まずは、町内会長のイシマルさんから・・
はい次は・・・ と30人ほど。
『はい、みんな渡りましたねえ~いただきま~す』
ふむ、みんなの器をのぞく。
幹事で、最近引っ越して来たばかりの
小林さんの器には、
最後の方をすくったので、あふれんばかりの
アズキ!
しかも、熱々!
それに比べ、会長の器には、
最初に上澄みをすくった為に、
ぜんざい・・というより、お汁粉に近い。
つぶつぶなんて、ほとんど無い。
何より、
ぬるい!
ぬる~いお汁粉やぞ!
そろそろ、ルールを変えませんかあ~
(アタシィ、猫舌なので、ワカンナ~イ)
はいはい、では、奥様バレーボールの帰りだとしましょ。
駅前のソフトクリームを食べようということになった。
10数人が店の前に並び、次から次にソフトを受けとる。
『はい!まずはイシマルキャプテン、ソーレエ!』
ソフトクリームを作るのは、結構手間どる。
最後に出来たソフトを、まだレギュラーにもなれない
新人が受け取る。
見事にトグロを巻いている。
炎天下の中、キャプテンのソフトはグニャリと曲がり、
土台のモナカの下から、溶けた液体が
ボトリ、ボトリ・・
ねえ、そろそろ、ルー
(アタシィ、知覚過敏だから、ワカンナ~イ)
このハナシは無かった事にして下さい。