両神山(りょうかみさん)1723m
埼玉県の高速道路を走っていると、西の方角に、
奇怪な形の山を目にしていた。
アレに登りたい。
さっそく、やってきた。
前日に、登山民宿と名乗る、宿に泊まる。
《両神山荘》
この宿の食事に、うならされた。
いったい何皿あっただろうか?
その皿に、イワタケだの、筍だの、ワラビだの、
コンニャクだの、だのだののすべてが、田舎料理。
この宿の女将さんが丁寧に手造りしている。
「ごちそうさま」と箸をおいた時には、腹いっぱいで、
米の飯まで腹がまわらなかった。
部屋も、昔ながらのフスマと障子のたて込みで、
まさに民宿の趣きがたっぷり。
朝は、鳥の声で目が覚める。
再び美味しいごはんを頂き、
「いってきま~す!」
清々しい森の入り口から、一歩をすすめる。
標高差1100mなのだが、
累積標高差は、その5割増しになる。
つまり、登ったり降りたりの連続。
その理由は、稜線が岩の凹凸で出来ている。
「鎖場が、30以上あるヨ」
民宿のご主人が教えてくれた。
さて、頂上までは、なんなくやってきた。
さあ、ここから先だ。
我らは、頂上往復ではなく、その先に進み八丁峠に降りる。
まず、頂上から岩場を30メートルほど進んだ所で、
ハタと足が止まってしまった。
というより、岩にしがみついている。
難所だとは聞いていたが、これほどだろうか?
(穂高岳の岩場より危険じゃないか!)
おかしい・・
一応、偵察してみる。
右も左も、断崖絶壁!
鎖もない。
(まてよ?さっき巻き道が見えた気がする)
20mほど戻ってみると、正規の道を見つけた。
なんのこっちゃ。
道迷いとは、こうやって起き、
滑落とは、あそこで戻らなければ起こる。
さて、ここからの3時間。
楽しくも気の抜けない岩登り、岩下りが続くのであった。
鎖はついているが、積極的に使用すべきところは、
3~4か所くらいだろうか。
(雨で濡れている時は、むしろ使ったほうがいい、特に下りは)
小学生の頃、裏山に頻繁に出かけ、
ゴツゴツした岩場を、傷だらけになりながら登ったものだった。
「ア~~ア・ア~~~」
ターザンの雄たけびをあげたものだった。
この両神山は、まさにその延長線にある。
他の登山者の手前、雄たけびは挙げなかったものの、
気分は、ターザン。
肩にチーター(チンパンジー)が乗っていないのが、
残念だった。
よし、この次は、逆コースで行ってみよう!
登るより降りる方が危ない