大学受験シーズンに入った。
そうそう、その昔
大学受験を2ヶ月後に控えたある日の事。
奇妙な
心配をし始めた。
受験当日、
右手をケガしていたらどうしよう?
(はいはい、ケガしないように気を付けましょう)
という風に、私の場合ならなかった。
<
答えは解かるのに、字が書けない>
これがいやだった。
どうしたか?
その日から、
左手で書く特訓が始まった。
鉛筆で、文字を左から、右に書くのは難しい。
どうしても、突っかかってしまう。
なお悪い事に、当時私は、
ツケペンを使っていた。
ツケペンとは、インク壷にペン先をドボンと漬けて
書く奴だ。
何故か気に入り使っていた。
こいつがやっかいだ。
ペン先が突っかかる。ズボズボ突き刺さる。
穴が空いたりする。
インクの染みだらけだ。
それでも、
諦めなかった。努力の人だった。
2ヶ月が経ち、受験の日がやってきた。
右手、左手どちらでもいける。
万全だ。自信に満ち溢れていた。
試験が始まった.
おかしい、手が動かない。
その時、気付いた。
2ヶ月間、手を鍛えるあまり、頭を鍛えるのを忘れていた。
本末転倒という言葉を、その時知った。
<
字は書けるのに、答えが解からない>