台風とは、災害である。
太古の昔から、人々の命にかかわる災害である。
しかも、毎年、日本のどこかに降りかかる。
いみ嫌われる代表格の自然現象。
ところが・・
災害と、わかっちゃいるのに、
なぜか、胸が高鳴っている人たちもいる。
「台風の接近にともない・・・」
テレビのアナウンサーの言葉に、敏感に反応し、
眼がまん丸くひらいている。
センセーショナルな自然現象に、心の奥底が反応している。
これから起こるであろう恐ろしい災害に、
立ち会うかもしれない自分の姿を想像している。
ピリピリした感覚を、目ん玉を見開いて待ちわびている。
「暴風域をともなって、猛烈な風と雨が・・・」
なぜか、テレビにあおられるのを、嫌っていない。
「台風本体の雨雲が・・」
刺激的なアナウンスが流れる。
「
こんや日付が変わる頃から・・」
なぜか、台風は、
今夜日付が変わる頃に、
何か良からぬ動きをみせる。
日中ではなく、我々が寝静まる今夜、日付が変わる頃が、
最も恐ろしい場面に直面する。
テレビのアナウンサーも、その言葉を喋る。
「今夜、日付が変わる頃に」
その時間とは、
若者は、まだ
目がパッチリ起きている時間であり、
若と老の間では、すでに
グースカ眠っている時間であり、
それ以外、つまり、
お日様が沈めば眠りたくなる人たちの間では、
ひょっとすると、
目が覚める時間帯でもある訳で、
「避難勧告が出ています」
という警告を、ダイレクトに聞ける人たちとも言えるワケです。
裏磐梯 曽原湖