
舞台の暗転時には、すみやかに移動しなければならない。
客席から観ていると、舞台の幕間、突然照明がおち、
何も見えなくなる。
それは、舞台袖でスタンバイしている役者も同じで、
真っ暗になった舞台の上を歩いていかなければならない。
ほんの10mほどの距離を、アンダンテ・・
歩く速さで歩いてゆき、ぴたりとピンポイントで止まる。
そのお手伝いとして、舞台上には、光るテープが貼ってある。
《蓄光》ちっこうテープ
バツ印だったり、ティー字だったり、四角だったり・・
しかし、このテープは誘導路ではない。
あくまで、最終ポイントの印だ。
さて、私は、この
暗闇移動が得意である。
どのくらい得意かというと、
以前、出演者の有志で、本番前に、
目隠しをして、舞台上を歩くゲームをやった。
スタンバイ位置の印までの間に、
ペットボトルをランダムに置き、
目隠しをして歩いてゆく。
ピンポイントの場所は、ステージの最前列から2mほどの所。
すなわち、ちょいと方向を誤れば、舞台上から落下する。
ペットボトルに触れたら失格。
さあ、やってみよう!
昼飯をかけて、皆でチャレンジした。
結果、一度もペットボトルに触れることなく、
印のマークの20cm以内に到達したのは私だけだった。
印の位置を変え、3度チャレンジしたが、
結果は同じだった。
「どうだ!」
私の鼻のピノキオ状態は、いかほどか!
翌日の昼飯をゴチになりながら、
特種能力に心からの拍手を受けたものの、
その能力以外のモノを、
「むしろ演技の方に注いだらいいのでは」
という圧倒的な指摘に、
ただただウナダレている私でありました。

徹底的にネジレた樹