「おっ、あの山は、なんだ?」
栗駒山の山頂で声をあげた。
南西の方角に、
ひときわくっきりと盛り上がった山があるではないか!
地図を広げる。
《月山》 がっさん 1984m
そうか、アレが月山なのか!
かねてより登りたかった山だ。
となれば、動きは速い。
栗駒山を駆け下りる。
降りたと思いきや、そこに須川温泉があったのを思い出した。
いくらなんでも、源泉露天風呂を素通りするほどヤボじゃない。
600円。
ジャポンッ
乳色をした露天風呂につかる。
あ~~~~
長~いため息をもらす。
源泉が、ジャボジャボと注がれている。
見たカンでは、毎秒2リットルのお湯が落ちてくる。
その前のお湯の溜まり場には、
毎秒5リットルほどが噴き出している。
露天に注ぎきれないお湯が、外にあふれ捨てられている。
ジャージャー
湯につかっていた客の一人がつぶやいた。
「
源泉タレ流しじゃなあ~」
源泉かけ流しというのは、しばしば聞くが、
タレ流しとはよく言ったものだ。
さほど湯量が多い。
多すぎる。
あ~~~~~
ため息が栗駒山の登山口に漏れる。
ん・・・?
湯あみでくつろいでいる場合じゃない!
すぐに、車を走らせて、山形県の月山に向かわねば!
ここは、秋田県の山の中だ。
まず岩手県の高速道路のインターまで2時間ほど行かねば!
そして、いったん南下して、山形道に入り、
終点まで行けば、月山登山口に近づく。
ソレッ!
湯冷めする暇もなく、心はがっさんへ。
ごめんね、栗駒山。
君の紅葉の美しさは忘れないヨ。
タレ流しも気に入ったヨ。
ほれ、がっさん!
いざ、がっさん!
栗駒山の岩場