
浅間山に登るには、まず、
外輪山である、黒斑山(くろふやま)の稜線まであがる。
ここで、浅間山の全貌を想像してみよう。
《グレープフルーツ絞り器》というモノがある。
半分に切ったグレープフルーツを片手に持ち、
絞り器の上から押し付け、ギュッギュッと絞る。
その絞り器にそっくりの形をしたのが、浅間山山系だ。
真ん中に浅間山本体があり、周りを外輪山が囲んでいる。
絞った汁が溜まる部分が、窪地の平原。
外輪山の中で一番高い部分が、黒斑山。
さて、外輪山までやってきた。
目の前に、ド~~ンと浅間山が盛り上がり、
手前に、恐竜でもいそうな草原が広がっている。
薄緑の熊笹の中に、カラマツ林の黄葉が輝いている。
殆ど黄金色と言っていい。
稲わらを見て、黄金と勘違いし、
《黄金の国ジパング》を西欧に伝えたマルコポーロが、
この光景を見たら、何というだろうか?
「オオ~黄金の海!」
ふたたび、宣伝マンに徹してくれるだろうか。
浅間山の黄葉は、色のグラデーションであり。
山なみの配置でもある。
ここに、こんな形のモノが欲しい。
あそこに、こんな色が欲しい。
芸術家がたんまり集まって、アアでもないコウでもないと、
ヤンヤやった挙句の集大成が、秋の黄葉浅間山である。
ゆえに、どこをどう切りとっても、絵になり、写真が映える。
やがて、グレープフルーツの汁が溜まるべき谷間の平原を歩き、
ご本体の浅間を登る。
これこそ、
おまんじゅうを登ると考えると分かりやすい。
ただただ、草木のわずかしか生えていない火山をよじる。
やがて、シェルターを過ぎると、
第一外輪山に辿りつく。
言い忘れたが、外輪山は二重になっている。
はじめの黒斑山は、第二外輪山。
で、こちらが、第一外輪山。
おまんじゅうのテッペンが窪んでおり、
さらにもう一回膨らんでいると思えばいい。
本来の頂上は、その膨らんだ所にあるのだが、
長い年月、毒性ガスの噴出で、立ち入り禁止となっている。
よって、第一外輪山の最高地点を頂上としている。
《前掛山》 まえかけやま 2524m
パシャリッ
頂上写真を撮っていた時だった。
声を掛けられた。
「すみません、写真撮って頂けませんか?」
振り返って、
彼が持っていたモノを見て、跳びあがった!
しまった、こんないい場面で紙面が切れた。
また明日~

火山シェルター

前掛山頂上 直下