人気ブログランキング |
角替和枝 悼む
角替和枝 悼む_e0077899_9491728.jpg
 《角替和枝》 つのがえかずえ 64才

44年前、《劇団暫》(しばらく)、というアングラ劇団があった。
アングラとは、アンダーグランドの意味で、
地下にある小さな劇場で、
50人、100人ほどの客を相手に芝居をしていた。
メジャーでないという意味で、アンダーグランドとも使っていた。

その暫に、角替和枝がいた。
もちろんイシマルもいた。
10人ほどの若者が、汗みどろになって、芝居をしていた。
なんせお金がない奴らばかり。
着ているものも粗末で、食べ物にも恵まれない。
やせ細り、常に飢えている。
誰かが食べ物関係のアルバイトを始めると、
寄ってたかって、残り物に群がった。
しかし、気概だけは高かった。
「面白い芝居をつくろう!」
アイデアが浮かぶと、すぐに芝居に採用した。

小さな劇場さえ借りられないので、
どこかの劇団が公演中の、使っていない昼間に、
われら暫の公演をおこなった。
料金は100円。
今の金額に換算しても500円。
しかし、内容はとても面白く、たくさんの客が押し掛けた。
年に何本も芝居をやった。
夜にやっている劇団の本公演より、沢山客が入るというので、
やがて、暫が本公演をうつことになった。
角替和枝は、暫の看板女優であった。
まだ20過ぎで、可愛らしく、芝居も切れよく、
お客に受けた。

お芝居の見た目だけで云えば、都会っ子なのだが、
元々、静岡の農家の出。
喋りに「ずら、だら」が日常的に出てくる。
下駄ばきにチャンチャンコを着こんで暮らしている。
都会的な顔立ちと、田舎モノの風貌とのギャップが、
厳しい時代の中、ほんわかした空気をつくった。
仲間には、
 「かずえ、かずえ」と呼び捨てにされた。

つかこうへい事務所に、初めて出演したのも、イシマルと同時。
身体が弱かったのか、稽古場でよく倒れ、
病院に運こんだ。
よくまあ、64才まで生きながらえたものだ。

暫で、今では作家の長谷川康夫(当時役者)と、
角替和枝がつくった傑作作品。
 《スチュアーデスの腹話術》
かずえが人形になり、長谷川が人形使い、
なぜか、人形(かずえ)が大阪弁のお転婆娘という設定。

 「今日は、飛行機で来たんですよネ」
 『ヒコーキぃバカ揺れ~』
 「高いとこ飛んでネ」
 『スッチャデス、きれいやわぁ~』
 「スチュアーデスさんでしょ」
 『すっちゃすっちゃ、スッチィ~!』
 「やめなさい」
 『♪~スッチィー音頭や、スッチィ~ホイホイ!』

10分ほどのコントに近い寸劇。
『花咲か村に春がきた』という芝居の、一場面。
ちなみにイシマルは、その村の奇術を使う和尚で、
かずえは、村娘。
当時のことでビデオも残っていないが、
鮮明に記憶に染みついている。

呼び捨てにできる女優が、ひとりいなくなった・・・
角替和枝 悼む_e0077899_9472465.jpg

by ishimaru_ken | 2018-10-28 09:55 | 昔々おバカな話
<< 浅間山③ 99座目達成 浅間山登山 ② >>


検索

リンク集

以前の記事
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月

画像一覧