《皇海山》すかいさん 2436m
群馬県と栃木県の堺にある日本百名山。
上越あたりの山に登ると、東の方角に、
ピラミッドのように頭を突き出した山が見える。
周辺の山の頂上から、ソレが見える。
あの山は何だろう?
常々、気になっていた。
ならば行こう!
ってんで、新人ウエタケ君を誘って、彼の車で向かった。
この皇海山へのアクセスが、簡単でなかった。
ダート道。
舗装していない道が、20キロほど続く。
いまどき、そんな道はなかなかない。
4人が乗り込んだ普通車が、土道に入り込んだ途端。
ジャンプが始まる。
すぐにドライバーであるウエタケ君がスピードを落とす。
そういえば、案内書に、
「車高の高い車で・・」との表記があった。
今年の台風のあと、道が荒れたのだが、
最近整備し直したとの情報をたよりに、
普通車で突入したものの、時速10キロ走行を強いられる。
「おっ、鹿が2頭いるゾ!」
カメラを取り出すが、車の上下の揺れで、
シャッターを押すどころじゃない。
「キジのつがいがいるゾ!」
同じく、手ブレだらけで、まともな写真が撮れない。
「落石があるゾ!」
助手席から降りて石をとりのぞく。
「間違って、路肩から落ちたらどうなるかねぇ?」
物騒なセリフがもれる。
『たぶん、数百メートル落下するか、崖の樹にひっかかるナ』
「今、落石が、車を直撃したら?」
『心配してる人の屋根の上に落ちるんじゃない』
「向こうから対向車が来たら、どこに逃げます?」
『どっちかが、バックバックするんだね』
危険をあおる表示版が、随所にあらわれる。
《自己責任》の文字が、いやでも目につく。
「熊もいるゾ」、と脅される。
そして・・・
2時間のノロノロ運転が終わり、登山口に到着した時、
『えっ、もう着いたのぉ~?』
眠りから覚めた滝田くんが、あくび混じりに伸びをしている。
『キジメス』
『自己責任』
『落石』
『落ちてくる石』
『悪路キケン』