我らイシマル隊が山に登る時、隊員は私のペースで歩く。
その中で、以前から、
おかしな歩き方をする隊員がいるのが気になっていた。
『ヨウコ隊員』
山の中では、私が歩くスピードを意図的に変える場合がある。
たとえば、前にいるパーティを抜こうとすれば、速足になる。
雨がきそうな時も速足になる。
逆に、景色がひろがったり、お花畑ではゆっくりとなる。
さあ、そんな時だ・・
速足で歩いている私が、突然足をとめる。
すると、後ろにいたヨウコ隊員は、とまる事が出来ずに、
追い越してゆくのである。
なぜなんだろう?
これまで不思議でしょうがなかった。
「なんで追い越しちゃうんだぁ?」
『急にはとまれない』
「・・?」
ヨウコ隊員は、心臓の鼓動が遅い。
一分間に40打つか打たないか。
いってみれば、大型エンジンを搭載している。
バイクでいえば、ハーレー。
ドッドドッド
動き出すには初動がゆっくりなのだが、いったん走り出すと、
馬力がある分エンジンの回転がとまらない。
そう・・
ハーレーと同じで、突然のブレーキや減速が苦手なのである。
私は、心拍数120くらいで急坂を上っている。
バイクでいえば、50cc。
ギャ~~~~ン
ヨウコ隊員は、心拍数50ほどしか上げてない。
ドッドドッド
こう考えれば解りやすい。
私の50ccは急にふかしたり、急に緩めたりが出来る。
しかし、1500ccのハーレーは、
急激なアクセル増減は得意でない。
ゆえに、私が突然とまると、
まだまだエンジンが回転しているヨウコ隊員は止まれずに、
タッタッタッタ・・追い越してゆくのである。