「音波で調べます」
人間ドックでは、音波で内臓を調べてくれる。
肝臓だの膵臓だの胆嚢だのを、調べてくれる。
「はい、ジェルを塗りますからネ」
素肌に滑るジェルを塗られ、髭剃りのような形の装置で、
腹の表面を撫でられる。
「はい、息を
吸ってぇ~止めてぇ~はい、
吐いてぇ~」
これがワンサイクルとなって、検査は進んでゆく。
「吸って、止めて、吐いて」である。
ところが、途中で、違う呼びかけがされる時がある。
「はい、
吐いてぇ~止めて~はい
吸ってぇ~」
真逆のアナウンスがされる。
すべてに従順な患者としては、
次も「吸う」もんだと、息を吐いて準備している瞬間に、
「吐いて」と言われる。
吐いている時に、「吐いて」となると、
二度吐きになり、
息が苦しい。
ピアノの低いドの音を弾いている時に、
もっと低いドの音を弾く感覚に似ている。
(例えが悪かったかな?)
よく考えれば、
昨日指摘したように、私は肺活量が低いらしい。
ただでさえ弱い吐き出しなのに、
二度吐きは、あまりにも弱く、
ドの音が、
ピアノの一番左の鍵盤からはみ出しかけている。
ドォォォォ・・・ォォォ