シキタリ<
美容院編>
理容院、つまり、床屋さんにしか行った事がない人
これを聞き逃すとヤバイ事になるよ。
イシマル、小さい頃は、
理容院に行っていた。
しかし、中学、高校はオヤジのバリカンで過ごし、
20代半ばまでは、自分でハサミで切っていた。
そして、20代半ばに、
美容院初体験がやってきた。
まず、ドアを開ける。
カランコロンと
音が・・しないナ。
いい匂いがする。どっちかというと、
バーとか、スナックとかの匂いだ。
『カットなさいますか?○○は××でしょうか?・・・・』
尋問が長々とあり、そのあと、住所氏名電話番号を書けと言う。
しばらく、アンアン、ノンノで過ごせと言う。
『コチラへどうぞ』
コチラに付いていくと、流し台がある。
椅子がある。座った。
『たおしま~す』
やさしく倒された。つまり、仰向けになった。
やばい、この
ポーズは!
歯医者に行った時の
ポーズだ。
(おら、いやだ)と叫ぼうとしたら、小さな
ガーゼを
顔に被せられた。
微妙な大きさだ。両端から、世界が見えないこともない。
そして、
ズレる。
微妙に
ズレる。
その
ズレを、こっそり、
唇で修正する。
ところが、修正すればするほど、
ズレてくる。
その修正に息があがり、スーと鼻を吸い込んだ途端、
ガーゼがピタッと
鼻の穴に吸い付いた。
と、その時を待っていたかの様に、髪を洗っていた女の人が
ガーゼをヒョイと元の位置に戻す。
鼻の穴に吸い付いたのを
悟られた。
『お湯加減はいかがですか~』
(銭湯かい)
『首の高さいかがですか~』
(横になりたい)
『かゆいところはありませんか~』
(背中の肩甲骨のあたりが・・)
どうも、洗い終わった様だ。
タオルで、顔にかかったしぶきを拭いている。
ギャアー、
耳の穴まで拭いている。
耳の穴グリグリして、そのまま髪の毛を拭きだした。
ちょっと待て・・
耳クソほじくったそのタオルで、
オレの髪を、拭き拭きかい?
髪の毛に
耳クソ付くだろ!
そりゃ、
自分の耳クソに違いないけど、
ボクチャン自宅では、そんな不潔な事やったら、
ばあばに叱られるぞ!
『コチラにどうぞ』
コチラがあちこちにあるらしい。
チョキチョキ、
やっと、念願の散髪が、いやカットが終わった。
『コチラにどうぞ』
(え~又洗うんかい。1日に2回も洗った事なんかないぞお)
『マッサージ入ります。』
もう帰ります。