時折、地方の町のホテルに泊まると、
素敵な夕焼けを見られることがある。
それは、泊まった部屋の条件が大きい。
《
最上階、エレベーターから最も離れた角部屋》
いま、この文章を眺めて、
「おお~!」と声を挙げた方は、
漫画ビッグコミックの愛読者だ。
そう、《ゴルゴ13》 ゴルゴサーティーン
半世紀にわたり連載されてきたスナイパーの物語。
そのゴルゴ13がホテルに泊まる時、
必ずルーティーンの様に守っているのが、
泊まる部屋の指定。
《
最上階の端っこの角部屋》
常に、人に襲われる警戒心で、神経がとぎすまされているゴルゴ。
危機管理、危険回避能力が突出しているスナイパーならではの、
部屋選び。
最上階なら、上の階から襲われる心配はない。
角部屋なら、隣はひとつだけ。
片側だけ、ケアしていればよい。
いざと云う時は、非常階段が目の前にある。
そうこの日、私イシマルの部屋も、非常階段の目の前だった。
危険回避や危機管理に関して、
並々ならぬ神経を注いでいる私としては、
ゴルゴ13を、意識せざるを得ない。
寝る前に、カギの確認はしっかりした。
ガチャガチャ
ベッドのクッションの下に、携帯電話を隠した。
(ゴルゴ13の場合は拳銃だが)
隠したまま、携帯を忘れて出かけるのではないかと、
心配だった。
なぜ隠したのかは、さておき・・
寝る前に、腕立て伏せをした。
たしかゴルゴ13もしていたからだ。
懸垂をしようと思ったら、部屋にぶら下がれるモノがなかった。
ゴルゴ13が懸垂していた記憶がないので、
ま・いいかと、安心した。
寝る前に耳をすました。
さすがに角部屋は静かだった。
忍び寄る悪い奴がいたら、感知できるかもしれない。
ホンの少しだけ、ゴルゴ13の気分を味わえた。
しかし・・・
エレベーターから、ものすごく遠かった・・・