大勢で花見をしなくなって久しい。
いわゆる桜見物食事会。
桜が嫌いなワケではない。
実は、30年ほど前に、ソメイヨシノ桜の咲き乱れるお隣に
移り住んだ。
一分咲きから満開まで、毎日毎夜、桜を眺めて暮らしている。
朝起きると、満開の桜で、窓が明るい。
昼は昼で、窓に視線を写すと、そこに桜がある。
夜は、我が家の明かりが桜にもれてあたり、
ボォ~と自らが白く光っているように見える。
コントラストとして、桜の前に、真っ赤なボケの花があり、
赤白、日の丸を描いているようである。
それでも、やがてハラハラと散る。
窓にも、屋根にも桜の花びらがくっつく。
その昔、破れた障子やガラスに桜の模様を張り付けたものだが、
散りゆく花びらから連想したのかもしれない。
昔人は風流だった。
「今年も桜は終いだネ」
などとつぶやいていると、待ってましたとばかり、
表通りの、八重桜並木が活動を始める。
八重は期間が長い。
おまけに、花びらの数も破格的に多い。
芝居の舞台で《花吹雪》を舞わせるシーンがあるが、
アレは、八重桜に違いない。
その花吹雪が、もうすぐやってくる。
春の強風にのって、前方の視界が閉ざされるほどの花吹雪になる。
地面は、もちろんピンクのじゅうたん。
もはやここまでやってくれれば、
桜見物を充分満喫したと云っていいだろう。
ほぼ、ひとつき間の、桜三昧。
(ただね・・・掃除が大変なんヨ・・)
鹿児島市内では、桜島の噴煙のセイで、
火山灰の掃除が大変だそうだが、
《桜島》の命名と、何か関係あるのだろうか?