
昨日、ピアノの鍵盤が指乾燥ですべる話をした。
で、プロにも小さな悩みがあると結んだ。
イシマルの場合。
ナレーション原稿が長いケースがある。
3行も4行も、丸がなく、だらだらと続いている。
長い原稿は、途中の、テンで区切ればいいのだが、
どうしても切れない文章というのが、たまにある。
どこかで切ると、文章の意味が通じなくなる可能性があるのだ。
そんな時は、がんばって一気読みするしかない。
しかしながら、息がどうしても続かなくなる。
どうしたらいいのだろう?
頭を悩ませていた。
「肺活量が少ない」
定期健診のときに、検査官の方をがっかりさせている私だ。
2行も一気読みできるハズがない。
さあ、悩んだ。
なにか解決策がないだろうか?
ようは、
どこかで息が吸えればいいのである。
読めなかった長い台ホンを持ち帰り、練習してみた。
ダメだ、いくらやってもどこかで、息が切れる。
もっと練習!練習!
その日が、10年ほど続いたある日・・
やはり長い文章を一気に読んでいたところ、
なぜか読めたのである。
肺活量があがった?
違います。
声の出し方の効率がよくなった?
違います。
正解は・・・
「喋りながら、息を吸っている」
どのひらがなでも出来る訳ではない。
もっともやり易いのは、《は》
こんにちはの、《は》である。
実際は、《わ》と発している《は》である。
《は》と声を出しながら、瞬間的に少しの息を肺に吸い込んでいる。
他にも、いくつかひらがながあるが、
ダメなのは、
《さ》行
《た》行
《な》行
《は》行
つまり息を噴き出して声を出す音は、無理がある。
《ま》も吸える。
試しにアナタにやってみて貰いたい。
「上野公園や目黒川のほとりで近年人の往来が特に激しくなったお花見をするためのまんかいの桜の下に陣取る外国からの観光客とのせめぎあいで」
さあ、これを一気読みしてみよう。
この中の、「まんかい」の《ま》を声に出す瞬間に、
息を吸い込むのである。
もちろん、《ま》と《ん》の間に、隙間があってはならない。
普通にまんかいと喋る間に、息を吸う。
はい、どうですか?
できましたか?
できなくても、当たり前です。
私だって、いつも出来ている訳ではありません。
切羽詰まった時に、出来るだけです。

道後温泉の脱衣ロッカー