京都嵐電
~~~昨日の続き~~~
京都東映の撮影所の宿で、先輩の役者諸氏と連日呑み歩く話。
35才頃の私としては、体力ありあまり、
連日の睡眠時間過小にも耐えられる頃であった。
しかしながら、なぜ、連日夜中まで祇園界隈までついていったのか?
ふむ・・
そのなぜを、今思い起こしてみるに、
一言で表現するならば、
先輩役者のお話しが、
あまりにも面白かったのである。
基本的に、昔話をされるのであるが、
その話術たるや、さすが、長年役者稼業をしてきただけの事はあって、
話しによどみがない。
人を飽きさせることがない。
『ところで、君は名前は何といったかな?』
「イシマルです」
『そうそうイシマル君、この店の女将はネ・・・・』
この語りを何度もやる。
いちいち私の名前を忘れる。
いちいち私の名前を聞く。
いちいち私の名前を口にだす。
なぜか?
飲み屋で、私の名前をアピールしてくれているのである。
同じ名前の伝え方でも、お洒落である。
『ママ、こいつ歌うまいんですよ』
「いえ、ダンスです」
『そそ、ママ、こいつとダンス踊ってみなさいヨ』
ってんで、私とママがムードダンス的なものを踊らされたりする。
すると翌日・・・
『監督ぅ~こいつネ、祇園でママ殺しですワ、ダンスで腰フリフリ!』
「あっ、いえ」
『もう、腰にグリグリ手をまわすは、
ネエネエ、あのあとどうなったん?』
一緒にタクシーで帰ってきたクセに、
話しをどんどん面白く発展させる。
挙句に、
『え~今日も祇園行くのお~勘弁してよ、おいら眠いよ~』
「いえ、先輩がタクシー呼べって言ったから、あっ来ました!」
しかして、先輩役者たちの語りの世界に、
半眼つぶった状態の私が、流されていくのでした・・・
ドクダミ